2014年09月30日

好き嫌いは良く

もう少し ちゃっちゃと進めぬものか。補習介紹

 発声練習をしなくてはならぬのじゃ」
 苦情を言いながら 振り向いた時であった。
 ぐーっ、 という音が高らかになった。
 山田屋太郎(偽名)の 腹の虫である。

「おお、 空腹なのか。 遠慮せずに、 そこいらの草も食べておけ。
 まだ 多少の道のりがあるぞ」
 丙姫は言いながら、
 手近なところにあった草を ひとつかみ引きちぎって、 差し出した。
 山田屋太郎(偽名)は、 無視するように睨み返した。
(くそっ、 馬鹿にしやがって。
 城に着いたら、 思う存分に ぶちのめしてやる)

「なあんだ、 要らぬのか。
 なかなかに乙な味なのだがな。 好き嫌いは良くないぞ。
 権助が、 里では めったに味わえぬ珍味だから 高値で売れる と申していたのに。
 うん、 美味い」
 丙姫は、 自分でむしゃむしゃと食べた。

 山田屋太郎(偽名)…… うっとおしいので、 以後(偽名)を省略します。
 山田屋は、 えっ? と辺りを見回したが、
 どんな草だったのか、 自分では見分けられない。
 満足そうに噛みしめて 味わっている丙姫を、 忌々しそうに見たが、
 いまさら欲しいとは言えなかった。
 城に着いたら、 お宝の前に 腹ごしらえもしておこう と心に決めたのであった。

 そうこうして進むうちに、 いくらか地形がなだらかになってきた。
「お城までは、 あとどれくらい?」
 ちらりと周囲に目を走らせて、 山田屋が尋ねた。
 目の端に、 掘立小屋のように ちっぽけな家がある。
 先のことを思案する余裕が出てきた澳洲自由行
「すぐ先じゃ」
 金太郎眉毛が、 無造作に答えて進もうとするのに、 頼み事を投げかけた。
「喉が乾いちまった。 水が飲みたい」
 さも耐えられないという様子で、 へたり込んで見せる。

 立ち止った丙姫は、
 近くに生えていた草の 太い茎を ぽきりと折って差し出した。
「そうか。 喉の渇きはつらい。
 ほれ、 遠慮せずに齧るがよい。 水気たっぷりじゃ」
 山田屋は、 また草か、 と思わないでもなかったが、 今度は素直に従った。
 周囲の状況を 観察しておいた方が良さそうだ という判断である補習介紹




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Posted by felicity520 at 11:53Comments(0)|| story
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